シックデイのとき、自己管理する際の適切な対応の仕方を「シックデイ・ルール」といいます。ここでは、基本的な対応や治療法別の対応を紹介します。

基本的な対応

1)温かく、安静にする

暖かくして休むことで体力の消耗を防ぎます。どんな病気になった場合でも効果のある、基本的対応です。とくに、感染症にかかった時は、抵抗力も高まります。下痢などで、飲食できない場合にも、回復を早めます。

2)主治医に早めに連絡を

症状が非常に軽い風邪や胃炎などの場合は安静にし、市販薬を飲むなどして様子をみてもかまいません。しかし、以下のような状態になった場合は、早めに受診して適切な治療を受けましょう。

・下痢や嘔吐の頻度が多く、食事が摂れない
・時間とともに症状が悪化する
・血糖値が持続的に300~350mg/dlを越える
・尿ケトン体が24時間以上持続的に強陽性(++以上)の場合
・食事摂取が困難で、低血糖が発症する場合
・腹痛が強い
・38℃以上の熱が続く
・改善の気配がない

とくに、まったく食事ができない、下痢や嘔吐がとまらない、さらに高い熱が続く場合は、症状が重症化しやすいので、すぐに受診が必要です。また、腹痛がひどい時は、胆のう炎、胆石症、虫垂炎、胃潰瘍などが隠れていることがあるので、必ず受診します。
さらに、高齢者(65歳以上)の方は、病状が急速に進行しやすく、非ケトン性高浸透圧性昏睡を起こすことがよくあるので、早めに受診しましょう。

3)こまめに現状チェック

シックデイの時は、いつもより検査の回数や項目を増やし、自分自身の現状を観察・記録することが大切です。チェックの結果、明らかな異常や気になる症状があれば、すぐ主治医に連絡して指示を仰ぎましょう。また、シックデイの時は食事量のチェックも重要です。食事量や水分の摂取量によって、インスリンや経口薬の調整も必要になるためです。

4)食事や水分、電解質を摂る

シックデイの時は、食欲が落ち、食べられなくなることが多いものです。しかし、摂取カロリー分の食事、水分、電解質(塩分やカリウムなど)を、できるだけとるように努力してください。
食事は、お粥、おじや、麺類、果物など食べやすい形で糖質を取ることが大切です。食欲がないときは、1回摂取量を少なくして、食事回数を増やしましょう。最低でも、1000Kcal程度のエネルギーを、糖質を中心に摂取するようにしましょう。
水分は、1日に1000~1500ml以上摂ります。尿の回数が少なくなったり、色が濃くなったりした場合は脱水状態になっている場合があります。原則としてどのような水分でもよいのですが、糖質、電解質を同時に補えるスポーツドリンク、果汁、スープなどが最適でしょう。

療法別の対応

1)インスリン療法

食事が摂れない、下痢や嘔吐がある場合などは、ふだんのインスリン量では低血糖になってしまいます。しかし、食事が摂れない場合でも、インスリン注射をやめてしまうと、病状が悪化します。とくに、1型糖尿病の人が、自己判断でインスリン注射を中断すると高血糖やケトアシドーシスの引き金となるので、非常に危険です。そのため、シックデイの時は、血糖測定の回数を増やして現状をチェックし、病状に合わせてインスリンの量を加減します。血糖値に応じたインスリン増減の目安を、あらかじめ主治医から指導を受けておくとよいでしょう。

2)経口薬療法

経口薬療法の場合は、どれだけ食事を摂ったかによって服用量が違ってきます。また、服用している薬の種類によっても、対応のしかたが少し違います。α-グルコシダーゼ阻害薬など、おもにインスリン分泌促進以外の作用で血糖値を下げる薬は、服用を中止しても、SU薬ほど大きな問題はありません。