まずは、できることから改善する

基本的な治療は成人と変わりませんが、高齢者は40代や50代の人に比べると、体力や病状の差が個人によって大きく違います。そのため高齢者の糖尿病治療は、各自の体力・病状の違いに応じて進めていく必要があります。また、加齢による心身の変化に対する細かな対応や工夫が必要になります。

◆食事療法◆

長い間なじんできた味つけは、なかなか変えられるものではないでしょう。また、食事療法を始めようとしても『食品交換表』などを理解することがめんどうになり、治療を投げ出してしまうケースも少なくありません。
そのため、嗜好や食習慣を急に変えずに、少しずつ適切な食事療法に近づけていく工夫が必要になります。正しい食事療法がなかなか実践できない場合は、宅配サービスを利用してもよいでしょう。

◆運動療法◆

運動は、血糖コントロールだけではなく、筋力、体力の維持、精神的満足感も得られます。
しかし高齢者は、体力・運動能力に個人差が大きいので、合併症や呼吸循環器系の異常や膝や足首などの関節に十分に注意しながら、無理のない程度に運動をしましょう。また、高齢の方は脱水に陥りやすいので、運動中に汗をかいたら十分な水分を補給するようにしてください。

◆薬物治療◆

食事療法や運動療法をしても、うまく血糖コントロールできない場合は薬物療法を行います。しかし、加齢とともに腎臓や肝臓の機能が低下し、合併症の腎症によっても腎臓の働きが悪くなります。その結果、薬の成分が体内に蓄積しやすくなり、副作用が現れやすくなります。

経口糖尿病薬の場合

高齢者は糖尿病以外の病気をかかえているケースが多く、病気の数が増えるほど薬の種類も増えてきますから、薬の飲み合わせのチェックが必要です。薬が増え、飲み間違いや飲み忘れないよう十分注意してください。

インスリン療法の場合

経口糖尿病薬でも効果が上がらない場合は、インスリン療法を行います。しかし、自分で注射することに慣れるまでに時間がかかったり、視覚障害のために単位数を合わせられない、手の震えのために注射器具を扱いにくい、といった問題が生じるケースがあります。このような場合は、必要に応じて家族がフォローするようにしましょう。