糖尿病と足のトラブル

日常生活で熱心に足のお手入れを行っている人は、あまり多くないと思います。ところが糖尿病と「フットケア」は、糖尿病の治療において非常に重要な役割を果たしていることをご存知ですか?
糖尿病による「足のトラブル(糖尿病足病変)」は、深刻な問題です。足のトラブルを起こさないためにも、傷ができたらすぐ手当てをすることはもちろん、常に足を観察し、手入れをすることが大切です。

◆足のトラブルが起きる原因

糖尿病と足のトラブル

神経障害

高血糖の状態が長く続くと神経に生涯が起きることがあります。糖尿病による神経障害では、とくに足の先端の痛みを感じにくくなり、靴ずれや小さな足のケガが気づかないうちに悪化することも。最悪の場合は、足を切断することになります。

血流障害

動脈硬化などが進行し血流障害が起きると、からだの末端、とくに足の先の血液循環が悪くなり、細胞が必要とする栄養や酸素が、十分に行き届きません。白血球や傷の回復を助ける血液成分などが減少するため、傷口が化膿しやすく治りも遅くなります

免疫力の低下

糖尿病により、血糖値の高い状態が続くと、白血球などの免疫細胞の働きが悪くなり、体の免疫力が低下して、細菌に感染しやすくなります

足の変形

神経障害があると診断された場合、へん平足・槌趾(ついし)(足の指が曲がる)・腱(けん)膜(まく)瘤(りゅう)(足の親指の付け根の関節が腫れて過敏になる)など、足が変形することがあります。これらは、魚の目、タコ、水ぶくれ、潰瘍(かいよう)などの原因になり、放置しておくとそこから細菌が入って重度の感染症を引き起こすことになります。

足のトラブル予防には

◆日常生活で注意すること

①毎日こまめに足のチェック

足のチェックポイント寝る前などに、毎日明るい場所で足をよく観察しましょう。足の裏側は手鏡に映してみたり、目の悪い方は、家族の方にチェックしてもらいましょう。

②入浴時のポイント

お風呂に入る時には、以下の点に注意しましょう。
・ 湯船に入る前には、必ず手や肘で湯加減を確かめる。神経障害があると、足が熱さに鈍くなっているので、お湯が熱くても気づかずヤケドになる場合があります。
・ やわらかいタオルやスポンジで、足の裏や指の間もていねいに洗う。
・ 足がふやけるほどの長時間の入浴は避ける。皮膚がふやけると、傷つきやすいので注意。
・ 入浴後はしっかりと水分を拭き取り、皮膚が乾燥しないようクリームを塗る。

③爪の手入れ

爪の手入れ神経障害が進むと、爪が伸び過ぎて割れていたり、巻き爪になっても違和感や痛みを感じません。伸びた爪はケガのもとですので、こまめに手入れをしましょう。硬くて切りにくい爪は、無理に自分で切らずに医師に処置してもらってください。また、深爪をしないよう、詰め切りではなく、なるべく爪やすりで削るようにしましょう。

④タバコは吸わない

タバコに含まれているニコチンは、血管を収縮させたり痛めたりすることがわかっています。タバコは、血流障害をより悪化させるだけです。糖尿病になったら、まず禁煙を!

◆正しく靴と靴下を選んで靴ずれ・タコ・魚の目を防ぐ

①自分の足に合った、優しい靴を選ぶ

靴が足にフィットしていないと、靴ずれを起こしたり、血管を圧迫したりします。また、蒸れやすい材質のものだと、みず虫ができやすくなります。足の病気の予防にとって、靴選びは大切なポイントです。

【靴の選び方と履き方のポイント】
靴の選び方と履き方のポイント・足全体にフィットし、つま先がゆったりしたものを選ぶ
・ハイヒールなど、一カ所に体重がかかるものは避ける
・長時間歩くときは、運動靴など皮が柔らかくクッションのあるタイプを選ぶ
・新しい靴を買う場合は、足がもっとも大きくなる夕方に選びに行く
・新しい靴を履くときは、靴ずれを避けるため最初から長時間履かず、徐々に慣らす
・靴を履く前には、小石など異物が入っていないかをチェック

②素足を避け、常に靴下を履く

ケガの防止のため、素足を避け、靴下を必ず履くようにしましょう。靴下の選び方、履き方は、右のようなことに注意してください。

【靴下の選び方と履き方のポイント】
靴下の選び方と履き方のポイント・足のムレやすい人は通気性のよい綿かウールのもの、冷え性の人は保温性のあるものを選ぶ
・血流障害を防ぐため、足を締めつけない、自分のサイズの合ったものを
・色は、出血に気づきやすい白を選ぶ
・毎日履き換えて清潔を保つ。雨水でぬれた時は、早めに履き替える